2024年04月30日
以上の「オリーブオイルと揚げ物料理」はIOC国際オリーブ協会が2001年に日本語で出版された「オリーブオイルと健康」から抜粋したものです。「オリーブオイルと健康」はオリーブオイルが人間に与える影響を医学的、化学的な専門家による多くの実験をとおして得た結果からつくられたものです。
これらの研究成果は現在も通用する優れたものですが、出版から20年以上経過した今、油脂への加熱によってトランス脂肪酸という問題が生じてきていることから、これについての情報を以下に追記します。なお、トランス脂肪酸については農林水産省から基本的な解説がNET公開されています。
トランス脂肪酸とは油脂の変異した脂肪酸のことで、多く摂取することによって生活習慣病、心臓疾患のリスクがあることから、脂肪の摂取量が多い欧米では規制をしている国もありますが、日本では国としても脂肪の摂取量が欧米ほど多くないことから今のところ問題視していない状況ではあります。
トランス脂肪酸は天然では牛や羊などの反芻動物(複数の胃をもつ動物)では胃の中の微生物の影響でトランス脂肪酸がつくられるため肉や乳製品に微量ですが含まれます。
人工的には二つの原因がありますが一つ目は油脂の加工で、液体の油を固形の脂にする場合、水素を添加することによってつくられます。植物油からつくるマーガリンなども水素添加の一例です。
もう一つは、油脂を精製する脱臭工程で、水蒸気により高温で加熱される段階でつくられます。この加熱によるトランス脂肪酸の発生は、製品化した油脂を加熱しても増えていきますが、以下の実験
の結果を見てもわかるように加熱に強いオイルはオリーブオイルです。
オリーブオイルにおいてトランス脂肪酸の変化が最も少ない理由を証明する試験結果等はありませんが、熱酸化に対して最も劣化しない油であることと同様に、バランスの良い脂肪酸組成と豊富な抗酸化成分を含んでいることと考えられます。